■7月某日 新都心のメインプレイスにある「SINEMA Q」で、「ラスベガスをぶっつぶせ」を見る。娯楽エンタ―ティンメントというか、サスペンス、アクションというべきか、ジャンル分けの難しい映画だったが、それなりに楽しめる映画だった。ラスベガスを描いた映画はこれまで何本も公開されているが、この映画も実話を元にしたもので、筆者的には非常に興味深いものだった。この映画は、ブラックジャックにおける必勝法といわれる「カードカウンティング」という手法を真正面から取り上げた内容だったからだ。カジノではほとんどのゲームが偶然の数字に支配されるが、このブラックジャックだけは記憶力や基本的なテクニックを駆使すれば、確率をあげることのできるゲームだからだ。このカウンティング手法もデータに基づいて数理的に研究した学者たちの成果なのだ。
映画の中心人物は、ボストンのマサチューセッツ工科大学のミッキー教授で、優秀な学生たちにこのカードカウンティングを極秘で特訓し、週末のラスベガスに乗り込んでひと稼ぎするという物語。ノーベル賞学者を多数輩出する名門大学の教授が、その才能を生かしてカジノでひと稼ぎするというのも、いかにもアメリカ的である。このミッキー教授に目をつけられたのが、もう一人の主役である天才的な数学力を見につけたベン。ベンはこのMITを卒業したらハーバード大学の医学部に進学することが内定している学生だ。しかし、母と二人だけの貧しい生活をおくるベンは医学部に進学するためには学費30万ドルを自力で調達しなければならない。奨学金制度やバイトでその学費をまかなうつもりだった真面目な学生が、ミッキー教授に誘われたことで人生が大きく変わり、ラスベガスでその能力を遺憾なく発揮して大金を稼ぐようになる。
しかし、カジノの裏方としてビデオカメラでプレイヤーたちの監視を続けるコールによって、この教授グループのカードカウンティングは見破られてしまう。このことじたいは違法ではないものの、カジノ側としては企業防衛上、こうしたプロを暴力的に締め出すのが通例。筆者の知人もカウンティングがばれて、「手配書」が作られて出入り禁止になった人物もいる(苦笑)。やがて、ベンは、平日は真面目な学生、週末はラスベガスのギャンブル王という二重生活に自ら耐え切れなくなり、カードカウンティングを無視して運だけの勝負に走り大敗する。ミッキー教授はベンに激怒し、このグループは崩壊しゲームは終わる。結局、最後はベンもミッキー教授もカジノ側から手痛い報復を受けてすべてを失い、もとの振り出しにもどるというストーリーだ。映画を見て、これは数年前に読んだ本の内容とほぼ同じだということを思い出して調べて見たら、メズリックの同名のアスペクト刊のノンフィクション作品だった。
ラスベガスは飛行機が禁煙になって以降、筆者は一度も行っていないが、昔は何回となく行った所なので街の風景や雰囲気をなつかしい思いで見た。最近は、マカオがラスベガスの売り上げを抜く成長を見せているので、わざわざ指紋と顔写真を取られた上に厳しいボディチェックを受けてまで米国に行く必要を感じなくなったためだ。沖縄でも1000万観光客誘致のために仲井真県政下でカジノ導入の是非が論じられるようになったが、今回の県議会議員選挙で推進派の自民・公明が過半数割れしたので、当分は沖縄カジノ誘致の話は立ち消えになるのではないかと思う。いずれにしても、カジノは勝つも負けるも徹底した自己責任の問題である、という大人の認識が前提でなければ成立しないゲームであることだけは間違いない。
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